【完】夢見るマリアージュ
「いいって何よ、いいって。」
「そんな話はいいですから、岸田さん今日は飲みましょう。
今日くらいはチートディだから好きな物を食べて、好きな物を飲む日です。
私、ビールのお代わり注文してきますから」
北斗さんと過ごした数ヵ月は良い思い出にしよう。 母の言う通り、仕事を頑張るしか私にはない。
あれは、夢だったのだ。余りにも可哀想な私に神様が同情して見せてくれたひと時の夢…。 前の私に戻るだけだ。
「あ、城田さ……」
沢山の人が居る飲み会でも北斗さんは私に声を掛けようとしていた。
すると、横に居た青柳さんがキッとこちらを睨みつけた。
こういう視線は知っている。 侮蔑に似たような視線は、学生時代から何度も味わってきた。
北斗さんに向かいぺこりと頭を下げると、そそくさとその場を後にした。
「はぁ~~…何やってんだか……来なきゃ良かった…
もう帰っちゃおうかなあ。 でも、岸田さん怒るかな…」