【完】夢見るマリアージュ

そう言えば北斗さんは顔を近づけて私の顔を覗きこむ。
その距離数センチ。いきなり美しい顔がドアップになって、心臓が止まりそうになる。
大きな瞳を細め、そっと頬に触れる。

「大変だ!目が真っ赤だよ?! びょ、病院に!」

「だ、大丈夫ですッ!これはコンタクトをつけたまま眠っちゃったせいで、外せば痛くなくなると思いますから。
コンタクトをしたまま寝てしまった私が悪いのですッ。 眼鏡も持ってきているので、洗面所をお借りします!」

「そうなの?
昨日シャワー浴びる前にコンタクト外しておけば良かったのに…
あーびっくりして心臓が止まるかと思った…」

北斗さんは心底ホッとしたような顔をし、その場で胸を撫でおろした。
…うう、なんて優しい人なのだろう。 そんな心配をしてくれるなんて。

ん~とその場で大きく伸びをして「俺も起きよう」とベッドから立ち上がる。 北斗さんの真っ白のベッドのシーツには、生々しい血の跡がついている。

更に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。

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