【完】夢見るマリアージュ
朝食を食べ終わり後片付けをしていると、リビングのソファーで北斗さんとリリーがじゃれ合っている。
私が近寄ると直ぐに逃げてしまう程警戒心の強いリリーだったが、どうやら近寄らなければ平気らしい。
出来るだけリリーのストレスにならぬよう気配は消して置こう。 後からこの家に現れたのは私の方だ。
洗い物が終わりリビングでじゃれ合っているリリーと北斗さんを見つめていると、彼がこちらにおいでと手招きをする。
北斗さんの腕の中、真っ黒の瞳をしたリリーがジッと私を見つめる。 出来るだけ足音を立てずに静かに近づいたが、距離が近づくとリリーは再びテレビ台の裏に隠れてしまう。
「ご、ごめんね。リリーちゃん…」
「気にしないで。リリーは元々警戒心が強くって俺以外には懐かないから。
洗い物してくれてありがとう。 ソファーに座ってゆっくりと休んで」
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、北斗さんから少し離れてソファーに座る。 …どうしよう。今更ながらすっごく緊張する。
カチコチになって前を向いて座ってると、北斗さんが近寄ってきて私の肩へ頭を置いた。
こちらを見上げ、少し照れくさそうに笑うのだ。