【完】夢見るマリアージュ
「北斗さん、営業部の城田さんと付き合っているって本当ですか?」
真っ直ぐな瞳で笑みを絶やさずにそう訊かれた時、やっぱり苦手だなあと思ってしまう。
はっきりと伝えたい所だが、香ちゃんは極力隠したがっているしどうしたものか。
「いやあ、その…」
「営業の木島さんから聞いたんです。というか社内その噂でもちきりですよ」
木島くん…か。
あの日香ちゃんに酷い事を言ってた男だ。
ペラペラと勝手にしゃべって、更に悪い印象しか残らない男だ。あの日も彼女の腕を強引に掴もうとしていた。
どうしようかと悩んでいると、青柳さんはくすりと小さく馬鹿にした様な笑みを漏らす。
「まさかですよね。
だって城田さんと北斗さん全然似合っていないですもん。
北斗さんがまさかああいう子を好きになるとは思えないし…
馬鹿みたいな噂だなあって聞き流してました。」
「それってどういう意味?」
心底ムッとして、少し嫌な言い方になってしまったかもしれない。
青柳さんは目をぱちくりさせ、こちらを見上げる。