【完】夢見るマリアージュ

強めな口調でそう言うと、一瞬彼女は怯んだ。

そこまで行ってしまってまずいかなと思った。 香ちゃんは内緒にして欲しいと言っていたけれど、これじゃあ付き合ってますと言っているようなものだ。

俺は全然付き合っているとバレても良かったのだが、なんせ真剣な交際だ。

「しんじ…られない…。絶対に嘘だと思っていたのに。
私、失礼します!」

そのまま青柳さんはエレベーターへ乗り込んでしまった。
何故か不穏な空気がして、ぶるりと背中が震えた。

―――――

『ごめん( ;∀;)今日残業だー』

『そうなんですね。大丈夫です。私も今日はジムに行こうと思っていたので。
無理をしないようにお仕事頑張って下さいね!』

季節はすっかり冬。
12月は年度末決算もある事から中々に忙しかった。

社長室でも残業をしている人がちらほらといる。 会社の中枢で、父は会社と社長室は運命共同体だという。

ので、最近はすっかり残業が続き疲れていた。 けれど癒される香ちゃんのメッセージを見るだけで、心はぽかぽかと温かくなっていく。

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