【完】夢見るマリアージュ
リリーはまだまだ私に警戒心を見せていたけれど、最近近くまで寄って来てくれるようになった。
ふわふわで真っ黒の瞳で見つめられるとついつい心がほっこりしてしまうものだ。
「可愛いなあ…」
リリーにご飯をあげて、北斗さんのマンションのキッチンで彼への夕ご飯を作る。
それだけで幸せな気持ちになる。
誰かの為に何かをする事がこんなにも幸せな事だったなんて。 ひとりぼっちの頃はこんな幸せがあるのは知らなかった。
とはいえまだまだ料理は勉強中。 お菓子作りは計量命だけど、料理は自分のさじ加減の一つで味が全く変わってしまうから、難しい。
今度北斗さんのお母さまに料理を習いにいくのも楽しみだ。
作った料理にラップをかけて、ソファーに座って携帯を開きウェディングドレスのサイトに接続する。
可愛らしいウェディングドレスを見るのも、相変わらずの趣味の一つだった。
私にとっては夢のような夢だったけれど、最近はウェディングドレスを着るのを想像する隣には絶対北斗さんがいる。
こんな妄想が北斗さんにバレたら気持ち悪がられるに違いない。 画面を彩るドレスにうっとりしていると、マンションのインターホンが鳴る。
北斗さんが帰って来た。 テーブルの上に携帯を置いて、慌てて玄関まで迎えに行く。