【完】夢見るマリアージュ
「堀田部長、スマイルスーパーへは私が連絡して謝罪しておきました。
倉庫の方にも在庫を確認して、午後に業者さんに足りない分は運んでおくよう手配はしておきましたので、ご安心ください。」
そのはつらつとした声に顔を上げると、堀田部長の表情が分かりやすく明るくなる。
「やや、さすがは岸田さんッ。頼りになるなあ!」
「いいえ、部下のフォローは当たり前なので」
「本当に、岸田さんがいると心強い。美人で仕事も出来る。 阿久津フーズファクトリーの華だよ、君は」
「うふふ~、堀田部長ありがとうございます。
じゃあ、城田さん行きましょうか。 お願いしたい仕事があるの。」
その声の主は堀田部長から見えぬよう、私をじろりと睨みつけた。
もう一回堀田部長へと頭を下げ、逃げるようにその声の主の背中を追うとぼそりと小さな声が聴こえた。
「全く、同じ’かおり’でもこうも違うもんなあー」 と会社に入って何度も言われ続けた言葉が耳を突き刺していく。
また小さく胸がズキリと痛む。 何度言われたって自分へ向けられる悪意の言葉には慣れる事が出来ない。