【完】夢見るマリアージュ

「俺もそんなに学校が得意ではなかったなあー」

「まさか、北斗さんは私と違って人気者だったでしょう? 会社でも人気ですもん」

「そんな事ないよ。 俺は騒がしいのが得意じゃないし、大人数で遊ぶのもあんまり好きじゃなかった。
だから社会人になっても大勢の会社の飲み会って未だに苦手。 社交性がないのが駄目だって父親にも言われてるんだけど
これって性格だから、中々ね。」

せっかく北斗さんが隣に居るのに、恥ずかしくって下ばかり向いていたら
彼のパソコンを打つ長細い綺麗な指が目に映る。

…北斗さんって、話しやすい。 なんだろう、今までこんなに話しやすい男の人は周りに居なかった。

ジーッとその指に見惚れていると、北斗さんはパソコン画面に視線を移したまま言う。

「今日も予定ない?」

「へ?」

「これから、予定ない? 仕事終わらせたら。」

「ない、ですけど。」


顔を上げた北斗さんの瞳が、優し気に揺れる。  その顔を凝視するのが恥ずかしくって、目が合っても直ぐに逸らしてしまう。

容姿に自信のない自分は嫌いだ。
けれど、勇気のない自分はもっと嫌いだ。

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