【完】夢見るマリアージュ
「じゃあ、これさっさと終わらせてご飯でも食べに行こうよ。
城田さんが好きそうなお店を見つけたの。」
「え?!」
「ほら、画面を見て手を動かす! 二人でやったらあっという間に終わっちゃうから」
「は、はい…!」
―――――
ここ数日だって夢のような時間だったんだ。 連絡先を交換して何気ないメッセージのやり取りをする事も
残業していたら顔を出してくれることも、社内で会ったら私にだけ特別なサインを送ってくれる事も。
突然舞い落ちた幸福のようで、信じられなかった。
北斗さんに食事に誘われて、上京して五年近く 私は都内のお洒落なレストランに連れられた。
周りの目ばかり気にしてしまう。だってお洒落な人ばかりいて、こんなダサい私と北斗さんが並んでいて恥ずかしい想いをさせていないかって
けれども彼はいつだって優しい笑みを浮かべていて、心配ばかりの私の心を軽くしてくれるような人だった――。