【完】夢見るマリアージュ
「ええ?!本当に岸田さんが思っているような事はありませんよッ…私なんて…
岸田さんや青柳さんみたく綺麗でもないですし」
カッと目を見開いて、岸田さんは美しい顔をこちらへ突き出した。
「じゃあ、あなたは何の為に頑張っているっていうのよ?!
私なんて、とか言い方は同じ女性として気に食わないわ。
女はね、誰にだって幸せになる権利があるの。 それこそ自分の気持ちに素直にならなくっちゃ、大事なチャンスを逃してしまう事になるのよ?!」
怒り口調ではあったけれど、これは応援されているの、か?
美人で気が強い岸田さんは入社当時から苦手だった。
けれど考えて見れば仕事を押し付けられたりもしたけれど、いつだって彼女は私の仕事の失敗のフォローもしてくれていた。
少なくとも、私を居ないような人間として扱ったりはしなかった。
「別にいいけどね。私美人だし、北斗さんじゃなくっても男はよりどりみどりだもの。
今大手企業のサラリーマンといい感じなのよ。
あなたも今度社会勉強として合コンに来てみる? せっかく痩せてちょっと可愛くなったんだもの」
「はは…考えておきます」