【完】夢見るマリアージュ
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「やあだー、超ださーい。あなたそのセンスマジなの?」
仕事帰り勇気を出して岸田さんを誘ったのは某大手デパートだった。 快く引き受けてくれたのも意外だったが
まさか自分が苦手な上司を誘えるなんて。今週の土曜日北斗さんとお出掛けをする。けれど私はお洒落な洋服なんて持っていないから、センスの良い誰かに見立てて欲しかった。
「まあ、痩せたといってもまだぽっちゃりだし…
体型はカバー出来る服の方がいいわねぇ」
「なるほど…」
「最近はオーバーサイズの洋服も流行っているし、このスカートなんて可愛いじゃない。
それにあなたって黒や紺の地味な服ばかり着てるけど、ピンクや黄色のパステルカラーの方が似合うわよ。」
ディスりながらも岸田さんは真剣に私の洋服を見立ててくれる。
苦手なタイプの人間ではあったけれど、岸田さんが実は面倒見の良い人間だというのは知っている。