【完】夢見るマリアージュ
色々な洋服を私に差し出しては真剣に考えている彼女を見ていると、今まで見えていなかった部分が見えてきた。
下ばかり向いていて、自分とは全然違うと決めつけていた人間。
学校にも社会にもヒエラルキーがあって、勝手に階級分けをしていたのは私の方だったのかもしれない。
「ねぇ、化粧品売り場にも行ってみない? 洋服はバッチリ決めてもメイクがおざなりじゃあ可哀想よ」
「お化粧品…」
「あ、可哀想っていうのはあなたじゃなくって折角買った洋服がね」
「で、でも…デパートのお化粧品売り場は私には敷居が高いっていうか…」
「何を言っているのよ。敷居が高いって何よ。馬鹿みたいな考えだわ。
とにかく行きましょう。
あ、あなたの為ではないから、ちょうど冬の新色が出ている所だから私も気になるの。
ついでにあなたにも似合う物を探してあげるってだけ」