【完】夢見るマリアージュ

「うわ、この鶏むね肉すっごく柔らかい」

「でしょー???パサパサなイメージがあるけれど、ここのはしっとりしててすごく美味しいの。
ソールも極上なのよね。ん~~~~うっま~」

物を美味しそうに食べる岸田さんはいつものピシッとした表情とは違い、少女のように柔らかく笑みが漏れる。

可愛いと思い、思わず笑ってしまった。

「何よ、何笑ってんのよ」

「す、すいません…。本当に美味しそうにご飯を食べるなあって思って……」

「フンッ。美味しい物を美味しく食べて何が悪いっていうのよ。
会社でも言った通り、私は骨格的に華奢には絶対なれない体型なの。
肩幅もすごぉーく広いから、これでもコンプレックスの塊なんだからッッ…」

岸田さん程の完璧な人には’コンプレックス’なんてないとずっと思っていた。 こんなに陰で努力しているのも知らなかった。

それに、岸田さんがこんなに私の事を真剣になって考えてくれるなんて
洋服も化粧品も岸田さんのお陰で買う事が出来た。 感謝の気持ちでいっぱいだ。

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