【完】夢見るマリアージュ
「アハハ、駄目ですね。私。
でも北斗さんの事は本当に岸田さんが思っているような関係ではないんです。
私って学生時代からずっとこうで…
本当は北斗さんや岸田さんとはレベルの違う人間だし、一緒にいるのが奇跡みたいなもので」
「レベルが違うって、何よそれ」
「私は学生時代からずっと周りから嫌われてたんです。 いわゆる底辺の人間ってやつですかね。
ヒエラルキーの最も下の最下層の人間。
岸田さんや北斗さんは頂上にいるような人で、本当は怖かった……」
私の言葉にもう岸田さんは怒ってはいなかったけれど、悲しそうな顔をした。
「言いたい事は分かるような気がする。 それがあなたが卑屈になった原因か…。
さっきも言った通り、私も学生時代は体型の事で男子に色々言われたりしたの。
変わりたい、と思って大学デビューしたわけなんだけど、いつの間にかそういう気持ち忘れてたわ。
そう…きっと知らず知らずに私の態度や言動であなたを傷つけていた事もあるかもね。 嫌だわ、人ってすぐ過去の事忘れちゃうんだから
私だって周りから嫌な事を言われて嫌な想いしてたはずなのに」