ふたつ名の令嬢と龍の託宣
(王子殿下はどんなお姿も様になるのね)

 よく理解できない会話に困惑しつつも、リーゼロッテはぼんやりとそんなことを考えていた。自分のことが話題になっていることは重々承知なのだが、まったくもって現実感がないのだ。

 先ほどまで遥か遠い壇上にいた王子が、自分の目の前に腰かけている。しかも、あれほど恐れていた黒もや魔王の婚約者が、当たり前のように隣に座っていた。

(気づいたらいつものお屋敷のベッドの上、なんてことはないかしら)

 リーゼロッテは、設定がよくわからないでたらめな夢をいつもみるため、この出来事も夢オチのような気がしてならなかった。

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