ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「リーゼロッテ嬢は、この国が龍の加護を受けているのは知っているね?」

 平民はこれを神話や伝説のようにとらえていたが、龍の存在は、上位貴族の間では疑わざるべき事実として周知されていた。

 うなずくリーゼロッテに、ハインリヒは意を決したように言葉を続けた。

「ならば、これから君に、この国で長く秘匿されてきた秘事を告げる。家族であっても他言は無用だよ」

 誓えるかい? と、内容の重さのわりに、ハインリヒは軽い口調で言った。

「貴族の家に生まれ、もとより国と王家の方々に忠誠を誓っております」

 凛とした声でそう返すと、ハインリヒは深くうなずいた。

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