ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 見ようによっては、ちょこんと座るリーゼロッテを、ジークヴァルトが頭から包み込むように大事に守っているようにも見えた。その大きな手がリーゼロッテの頭頂部を鷲掴んでさえなければの話だが。

「ななな、なんですの、あれは」

 涙目でかたかたと震えるリーゼロッテを見て、灰色の髪の少年が、突如ぷっと噴き出した。

「リーゼロッテ嬢、まじで視えてなかったんだ! そんだけ力持ってんのに、何も視えてないなんて、すんげー、宝の持ち腐れ!」

 そのあとは大爆笑だった。

 まじであり得ないとか、かえってそんけーするとか、今までよく無事だったなとか、なんだか言いたい放題にされている。琥珀色の瞳に涙まで浮かべて腹を抱えて笑っている彼の頭を、ハインリヒ王子が、背後から小気味よくはたき落とした。

「カイ、いくら何でも笑いすぎだ」

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