ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 ぐっと言葉に困ったリーゼロッテは、しばらく逡巡したのち、心を決めた。今さら隠しても仕方がない。

「あの、実はわたくし、初めてお会したときからジークヴァルト様のことが……」

 何やら愛の告白がはじまりそうな台詞だが、リーゼロッテの口からそんなものが紡がれるはずもなく――

「黒いモヤモヤをまとう魔王に見えて、とっても恐ろしかったのです! いただいた贈り物の何もかも、怖くて触れることも見ることもかないませんでしたっ」

 一気に捲したてたリーゼロッテのその言葉に、部屋がしん、と静まり返る。

「り、リーゼロッテ嬢、予想外すぎてオレ、もうムリっ」

 その沈黙を破ったのは、やはりカイの大爆笑であった。

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