ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 テーブルの上で、再びわさわさ動きだしたソレの動きに、リーゼロッテがびくりと反応する。ジークヴァルトから離れさえすれば、ソレらは見えなくなるという事実に、彼女は気づいていなかった。まあ、見えなくとも、そこにはいるのだが。

 ジークヴァルトが、リーゼロッテの頭をつかんでいる反対側の手で、パチリと指を鳴らした。その瞬間、青い光に包まれてそこら辺にいた異形の者たちが霧散した。

「あ、あのものたちは何なのですか? 小鬼とおっしゃいましたが……」

 リーゼロッテは、無意識にジークヴァルトに身を寄せる。

「人ならざる者、いや……かつて人であった者、という方が正しいかな?」
 
 ハインリヒの言葉に、リーゼロッテは幽霊やそういった類の者を思い浮かべた。

「死者の残留思念とかも含まれるかなー。あ、ブラオエルシュタインの悪魔って呼ぶ人もいるよ」

 カイがこともなげに言う。

(幽霊? 悪霊? 地縛霊? 悪魔が来りて笛を吹く!?)

 怪談話が苦手なリーゼロッテは、オカルト的話の展開に身を震わせた。

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