ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテは青ざめた顔からさらに血の気が引いた。屋敷のみなに影響は出なくとも、リーゼロッテのせいで怪我をする使用人はいたのだから。その原因が異形の者だとすると、今後もっと大ごとにならないとも限らない。

「だけど、リーゼロッテ嬢のその環境は、ちょっと看過できないな」

 そう言ってハインリヒは、ジークヴァルトを睨みつけた。

「不手際だな、ジークヴァルト」

 ダーミッシュ家の養子に入ったとはいえ、力あるものとしてリーゼロッテの後見を任されたのは、公爵家を継いだジークヴァルトだったのだから。

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