ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「リーゼロッテ嬢は、本来なら異形の者を浄化できる力をもっているはずだ。なぜ、その力が使えないのか、詳しく調べる必要がある。大きな被害が出る前にね」

 リーゼロッテに視線を戻すとハインリヒは柔らかい笑顔を向けた。

「心配しなくていいよ。ヴァルトの力を借りてはいるが、君も今は異形の者が視えているようだ。力を使いこなせるようになれば、恐らく危険はなくなる」

 そして、ハインリヒは王太子として言葉を告げる。

「そういうわけでリーゼロッテ嬢、君はしばらく王城で保護する。これは命令だ」

 反論を許さない声音で、いいね? とハインリヒはつけ加えた。


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