ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 ジークヴァルトに連れられて、リーゼロッテは王城の廊下を進んでいた。

 自分の後ろを小走りでついてくるリーゼロッテに気づいたジークヴァルトは、エスコートするように彼女の片手を取り、歩調をゆるめた。

 おかげでリーゼロッテは、王城の中を、ゆっくりと観察することができた。きょろきょろと物珍しそうに視線を巡らしている。

 時折、すれ違った近衛の騎士たちが、ふたりに道を譲り、礼を示した。

(ジークヴァルト様は公爵閣下でいらっしゃるから、お立場もきっと偉いのね)

 ジークヴァルトは、護衛騎士団の中でも、王子付きの近衛隊に所属しその副隊長を務めていた。身分的に隊長を務めてもよかったのだが、王子付きの護衛として自由に動くには、そちらの方が都合がよかったのだ。本人が面倒くさがったのも大きいのだが。

「おい、よそ見をするな。()()()()ぞ」

 ぐいと、ジークヴァルトに腰を引き寄せられる。

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