ふたつ名の令嬢と龍の託宣
(あれ?)

 リーゼロッテは軽く首をかしげる。令嬢に触れられた肩が、少し軽くなった気がしたのだ。

(なんだろう、この感覚……。まるでルカに手をひかれている時のよう)

 ルカとは、リーゼロッテの四歳下の義弟(おとうと)である。何もないところで転ぶリーゼロッテを、屋敷の中では、いつもルカが手をひいてエスコートしてくれている。ルカがいるだけで、リーゼロッテは不思議と転ばなくなるのだ。

 令嬢の髪の色と目の色が、義弟に似ているからだろうか? 不思議な安心感が、令嬢の手から感じられた。

「ねえ、あなた……リーゼ……ダーミッシュ伯爵家のリーゼロッテ様ではない?」

 リーゼロッテの顔をまじまじと見て、令嬢が可愛らしく小首をかしげる。

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