ふたつ名の令嬢と龍の託宣
◇
「ピッパ様? どちらにいらっしゃいますか?」
庭の茂みをかきわけながら、アンネマリーは声をかけた。
アンネマリーはお茶会があった日の夜、第三王女殿下の話し相手になるよう、王妃から命がくだったことを突然告げられた。夜が明けて、王妃の離宮の客室で身支度を整えると、早速王女殿下と引き会わされたのだが、今年十歳になるピッパはかなりおてんばな王女だった。
幼少期から父親と共に隣国で暮らしていたアンネマリーは、ブラオエルシュタインから隣国へと嫁いだ第ニ王女であるテレーズと懇意にしていた。隣国の言葉をそれなりに話すことができたアンネマリーは、まだ、言葉がうまく話せないテレーズ王女のために、王女が嫁いで約ニ年の間、いろいろと尽力してきた。国に帰るときは、後ろ髪を引かれる思いで帰国したのだ。
そのためピッパは、姉姫であるテレーズの様子をあれこれ聞いてきた。異国の話も毎日のようにせがんでくるので、王女殿下にどこまで異国の話をしていいものか、アンネマリーは苦慮していた。
ブラオエルシュタインは、封建的で閉ざされた国だ。あまり他国の文化や情報を入れるのは、良しとされない風潮だった。
そんなピッパ王女を、アンネマリーが探しているのには理由があった。
「ピッパ様? どちらにいらっしゃいますか?」
庭の茂みをかきわけながら、アンネマリーは声をかけた。
アンネマリーはお茶会があった日の夜、第三王女殿下の話し相手になるよう、王妃から命がくだったことを突然告げられた。夜が明けて、王妃の離宮の客室で身支度を整えると、早速王女殿下と引き会わされたのだが、今年十歳になるピッパはかなりおてんばな王女だった。
幼少期から父親と共に隣国で暮らしていたアンネマリーは、ブラオエルシュタインから隣国へと嫁いだ第ニ王女であるテレーズと懇意にしていた。隣国の言葉をそれなりに話すことができたアンネマリーは、まだ、言葉がうまく話せないテレーズ王女のために、王女が嫁いで約ニ年の間、いろいろと尽力してきた。国に帰るときは、後ろ髪を引かれる思いで帰国したのだ。
そのためピッパは、姉姫であるテレーズの様子をあれこれ聞いてきた。異国の話も毎日のようにせがんでくるので、王女殿下にどこまで異国の話をしていいものか、アンネマリーは苦慮していた。
ブラオエルシュタインは、封建的で閉ざされた国だ。あまり他国の文化や情報を入れるのは、良しとされない風潮だった。
そんなピッパ王女を、アンネマリーが探しているのには理由があった。