ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「大公、めずらしいな。昼間に出歩くなど」
ジークヴァルトの言葉に、首無しの鎧の足が止まった。
『おお、フーゲンベルクの小僧か。大きくなったな。おや、そこにいるのはマルグリット嬢か? 最近見かけないと思ったが。元気にしていたか?』
ジークヴァルトの陰に隠れていたリーゼロッテが恐る恐る顔を出す。
「母様をご存じなのですか?」
しゃべる首無しの鎧は怖かったが、禍々しい感じは全くしなかった。リーゼロッテは、ジークヴァルトの後ろから少し前に出て、その大昔の大公に礼を取った。
「わたくしリーゼロッテと申します。マルグリットはわたくしの母でございます、大公様」
『嬢の娘とな。同じ気配を纏っていると思ったが……そうか……時が移ろうのは早いものだな』
リーゼロッテをしばらく見やってから、大公は感慨深げに言った。
「大公はこんな時間に何をしているのだ?」
『最近、異形たちが騒がしくてな。おちおち寝てもいられん』
わしも異形だがな、と付け加えると鎧の大公はわははと豪快に笑った。
ジークヴァルトの言葉に、首無しの鎧の足が止まった。
『おお、フーゲンベルクの小僧か。大きくなったな。おや、そこにいるのはマルグリット嬢か? 最近見かけないと思ったが。元気にしていたか?』
ジークヴァルトの陰に隠れていたリーゼロッテが恐る恐る顔を出す。
「母様をご存じなのですか?」
しゃべる首無しの鎧は怖かったが、禍々しい感じは全くしなかった。リーゼロッテは、ジークヴァルトの後ろから少し前に出て、その大昔の大公に礼を取った。
「わたくしリーゼロッテと申します。マルグリットはわたくしの母でございます、大公様」
『嬢の娘とな。同じ気配を纏っていると思ったが……そうか……時が移ろうのは早いものだな』
リーゼロッテをしばらく見やってから、大公は感慨深げに言った。
「大公はこんな時間に何をしているのだ?」
『最近、異形たちが騒がしくてな。おちおち寝てもいられん』
わしも異形だがな、と付け加えると鎧の大公はわははと豪快に笑った。