ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテは腰を折ってスカートを軽くつまみあげ、王妃に最大の礼を取る。

「ダーミッシュ伯爵が長女、リーゼロッテ・メア・ダーミッシュにございます。本日はこのような素晴らしいお茶会にご招待いただきまして、まことにありがたく存じます」

 高貴なお方の前では目を伏せ、王妃の許しがもらえるまで顔を上げることはできない。王妃がはっと息を吸い込んだ後、奇妙な沈黙が訪れる。

(何……? もう、何かしでかしてしまったのかしら)

 先ほどよりも重く感じる体を気力で支えながら、リーゼロッテは背中にいやな汗を感じていた。

「顔をお上げなさい」

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