ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 朝は朝食が済んで、しばらくしてからジークヴァルトが迎えに来ていたし、帰りは夕方に客間まで送ってもらったあと、そのまま部屋を出ない生活が続いていた。ジークヴァルトはリーゼロッテを送り届けた後、王城内に用意された私室に帰っていたのだとばかり思っていたのだが。

「そのような話はジークヴァルト様から伺っていないのだけれど……」

 困惑したようにリーゼロッテが言うと、アンネマリーは反対に目を輝かせた。

「まあ、もしかしたらリーゼに心配をかけないよう、黙っていらっしゃるのかもしれないわね。夜勤に向かう女官や侍女からの目撃情報をたくさん聞くから、きっと間違いないわよ」

 ウィンクしながらアンネマリーにそう言われ、ジークヴァルトがわざわざそんなことをするだろうかとリーゼロッテは首をかしげた。

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