ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 リーゼロッテは、王太子の執務室隣の応接室にいた。ジークヴァルトは、王子殿下とやることがあるからと席を外し、珍しくカイと二人で留守番をしていた。

「ねえ、リーゼロッテ嬢。この小鬼、なんだかかわいくなってない?」
「まあ、カイ様もそうお思いになられますか?」

 ふたりがかこむテーブルの縁に、先日からリーゼロッテが浄化を試みている小さな小鬼がちょこんと腰かけていた。リーゼロッテが両足をプラプラさせている小鬼を見ると、小鬼はきゅるんとした可愛らしい目をリーゼロッテに向けた。

 はじめは他の異形とかわらずドロドロのデロデロだったが、今ではちょっとブサ可愛い小人みたいなものに変わっている。リーゼロッテが浄化を試みるうちに、小鬼の目つきがかわってきたなと思っていたが、最近では動作も可愛らしく思えてきた。

 カイが小鬼をつつくと、小鬼はイヤそうにカイの手を逃れ、テーブルから飛び降りてリーゼロッテにぽてぽてと駆け寄ってくる。

「カイ様、浄化してはだめですわよ。わたくしが試みているのですから」
「リーゼロッテ嬢、小鬼に一体何をしたの?」
「何って、ですから浄化ですわ」
「うーん、確かになんか変な方向にキレーになってるけどね」

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