ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 カイは屈みこんで小鬼の首根っこを捕まえ、自分の目の高さまで小鬼を持ち上げた。目の前でプラプラさせてまじまじと小鬼を観察していると、ハインリヒとジークヴァルトが応接室に戻ってきた。

「カイ、何してるんだ?」

 ハインリヒが聞くと、カイはつまみあげた小鬼を、ずいとハインリヒの前に近づけた。

「リーゼロッテ嬢の小鬼が、こんなになってて」

 いやいやした小鬼がカイの手を逃れて、ポトリと床へ落ちた。そのままリーゼロッテにとてとてと駆け寄り、スカートの裾にしがみついて隠れるようにもぐりこんだ。

「まあ、ポチったら」とリーゼロッテが言うと、「ポチって何?」カイがあきれるように返した。

「どう浄化したら小鬼がかわいくなるわけ? 浄化って言ったら、ねじ伏せて、ドン、でしょ」

 カイの言葉に、リーゼロッテが驚いた顔をする。

「ええ? 浄化とはそういうものなのですか?」

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