ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「でも、さすが王妃様主催のお茶会ね。お茶もお菓子も、何かもが一級品だわ」

 アンネマリーはつぶやくように、手にした高級なティーカップをまじまじと見つめた。

「これでコルセットがなかったら、好きなだけおいしいお菓子を楽しめるのに」

 大仰にため息をついたアンネマリーと目が合って、思わずふふっと素で笑ってしまった。

(いけない、今のは淑女の笑い方じゃなかったわ)

 居住まいをただし、庭園をあらためて見まわしてみる。他の令嬢たちはそわそわした様子で、王子殿下の登場を今か今かと待っていた。


 王子が現れるであろう建物の方に熱視線をむけている令嬢たちをよそに、いちばん遠い端の円卓に座ったアンネマリーは、我関せずおしゃべりに熱が入る。

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