ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「みーちーをーあーけーろーよ、こんちくしょーっ!」

 カイが前方に向かって叫ぶと、目の前の廊下の異形たちが一気に消し飛んだ。まさに、ねじ伏せてドン、な浄化に、リーゼロッテは思わずその目をそむけた。耳を塞いでも異形たちの悲鳴が届く。毎夜見る悪夢の続きのようだった。

 どこをどうどれだけ進んだのかもわからない。ただただ早く終わってほしい。苦しそうなリーゼロッテを見て、ジークヴァルトは抱き上げた体をさらにぎゅっと引き寄せた。

 ふいにリーゼロッテが顔を上げ、「アンネマリー?」とつぶやいた。

「どうした?」
「あちらにアンネマリーが……」

 ジークヴァルトが問うと、リーゼロッテは廊下の先を指さした。異形の塊で遠くは見えなかったが、ジークヴァルトは言われた方向に歩を進めていく。

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