ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「イジィはあれが大事か?」

 王の問いに、イジドーラは「セレスティーヌ様のお子ですもの」と同じ言葉を繰り返した。

「余よりもか?」

 少し拗ねたように言われ、イジドーラは驚いたようにディートリヒを見上げた。

「まあ、王、お戯れを……。わたくし、王とセレスティーヌ様には、心から感謝しておりますのよ。茨の道からわたくしを救い出してくれた恩人ですもの」
「感謝か」
「ええ……ですから、この身が朽ちるまで……わたくしは、ずっと、王のものですわ」

 イジドーラはうすい水色の瞳をそっと閉じて、ふたたびディートリヒにもたれかかった。

 浮かばれぬ魂たちの哀し気な咆哮が、遠くで木霊している。ディートリヒは、イジドーラのすべらかな頬を、その手でなで続けた。

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