ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「アンネマリー?」
「ハインリヒ様。王城で何かあったのですか? 人が全くいないですし、こんなにも静かだなんて……」
アンネマリーはハインリヒに礼を取った後、するりと異形をすり抜けてきょろきょろと辺りを見回した。
(彼女も無知なる者だったか)
ダーミッシュ家の親類であれば、そうであってもおかしくない。無知なる者は、こんな状況でも全く影響を受けないものなのか。視える者にとって、この状況下では彼女の存在は異質に感じた。
「君はなぜここに?」
「はい、王妃様に休暇を頂いていたのですが、クリスタ叔母様、いえ、ダーミッシュ伯爵夫人からリーゼロッテに言付けを頼まれましたので、早めに戻ってきたのです」
彼女がいくら無知なる者でも、今の王城の警備は手薄となっていた。こういった異形がらみの騒ぎでは、飲み込まれた人間が犯罪を犯すことがよくあるのだ。異形の被害は受けなくとも安全とは言い切れなかった。
ハインリヒは迷ったが、アンネマリーをキュプカーに託すことにした。
「キュプカー、彼女を頼む」
そう言って、足早にハインリヒはその場を去ろうとした。
「ハインリヒ様。王城で何かあったのですか? 人が全くいないですし、こんなにも静かだなんて……」
アンネマリーはハインリヒに礼を取った後、するりと異形をすり抜けてきょろきょろと辺りを見回した。
(彼女も無知なる者だったか)
ダーミッシュ家の親類であれば、そうであってもおかしくない。無知なる者は、こんな状況でも全く影響を受けないものなのか。視える者にとって、この状況下では彼女の存在は異質に感じた。
「君はなぜここに?」
「はい、王妃様に休暇を頂いていたのですが、クリスタ叔母様、いえ、ダーミッシュ伯爵夫人からリーゼロッテに言付けを頼まれましたので、早めに戻ってきたのです」
彼女がいくら無知なる者でも、今の王城の警備は手薄となっていた。こういった異形がらみの騒ぎでは、飲み込まれた人間が犯罪を犯すことがよくあるのだ。異形の被害は受けなくとも安全とは言い切れなかった。
ハインリヒは迷ったが、アンネマリーをキュプカーに託すことにした。
「キュプカー、彼女を頼む」
そう言って、足早にハインリヒはその場を去ろうとした。