ふたつ名の令嬢と龍の託宣
ハインリヒはそれを聞いて、ちらりとアンネマリーを見た。無知なる者である彼女ですら、異形の影響を受けたのだ。ここに彼女だけ置いていくわけにもいかなかった。
「アンネマリー、事情は後で話す。今は黙ってついてきてくれないか」
ハインリヒにそう言われ、アンネマリーはやはり王城で何かが起きているのだと顔を青ざめさせた。
「カイは彼女を守れ。キュプカーは先ほど言った通りに頼む」
「御意に」と言うと、キュプカーは今度こそ異形の間を抜けて王城の廊下を足早に去っていった。
王城の廊下を一行は進んでいく。ハインリヒを先頭に、その後ろをリーゼロッテを抱えたジークヴァルトが、最後尾にカイとアンネマリーが続いた。
「さっきより増えてないか?」
隣にいるカイのそのつぶやきに、アンネマリーだけが首をかしげた。ハインリヒも、カイもジークヴァルトも、空中で何やら手を動かしながら歩いており、リーゼロッテは時折、小さく悲鳴を上げた。
足が痛むのかとアンネマリーは心配したが、その時に限って、その場にいる者がみな、よくはわからないが同じ何かに対して反応しているようなそぶりを見せる。不思議な光景だったが、緊迫した空気がアンネマリーに質問を許さなかった。
「アンネマリー、事情は後で話す。今は黙ってついてきてくれないか」
ハインリヒにそう言われ、アンネマリーはやはり王城で何かが起きているのだと顔を青ざめさせた。
「カイは彼女を守れ。キュプカーは先ほど言った通りに頼む」
「御意に」と言うと、キュプカーは今度こそ異形の間を抜けて王城の廊下を足早に去っていった。
王城の廊下を一行は進んでいく。ハインリヒを先頭に、その後ろをリーゼロッテを抱えたジークヴァルトが、最後尾にカイとアンネマリーが続いた。
「さっきより増えてないか?」
隣にいるカイのそのつぶやきに、アンネマリーだけが首をかしげた。ハインリヒも、カイもジークヴァルトも、空中で何やら手を動かしながら歩いており、リーゼロッテは時折、小さく悲鳴を上げた。
足が痛むのかとアンネマリーは心配したが、その時に限って、その場にいる者がみな、よくはわからないが同じ何かに対して反応しているようなそぶりを見せる。不思議な光景だったが、緊迫した空気がアンネマリーに質問を許さなかった。