ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「何なんだよ、一体!」
上を見上げながらカイが突然叫び声をあげたので、隣を歩いていたアンネマリーはびくりと体をふるわせた。同時にリーゼロッテが悲鳴を上げ、ジークヴァルトの舌打ちが重なる。
リーゼロッテは頭を押さえ、パニック状態になっている。その頭に、ジークヴァルトが脱いだ自分の上着をばさりとかぶせた。
ハインリヒが後ろを振り返ると、リーゼロッテの頭上の天井に、異形がわさわさと集まっている姿が見えた。天井の黒い吹き溜まりから崩れかけたその手を伸ばし、リーゼロッテの髪をつかもうとしている。
その光景は、リーゼロッテが狙われていることを如実に現していた。城中の異形という異形が、リーゼロッテに迫っているかの勢いだ。
リーゼロッテの身の安全はジークヴァルトに任せて、ハインリヒは目の前の道を切り開くことに専念した。客間まであと少し。客間の扉の前は、ジークヴァルトの結界のせいか、ぽっかりと異形の姿が見えなかった。
ほうほうの体で一行は客間の中へなだれ込んだ。ほっと息をつく一同を迎えたのは、ぽかんとした様子のエラだった。
あり得ない面子の突然の来訪に、今度はエラがパニックを起こす番であった。
上を見上げながらカイが突然叫び声をあげたので、隣を歩いていたアンネマリーはびくりと体をふるわせた。同時にリーゼロッテが悲鳴を上げ、ジークヴァルトの舌打ちが重なる。
リーゼロッテは頭を押さえ、パニック状態になっている。その頭に、ジークヴァルトが脱いだ自分の上着をばさりとかぶせた。
ハインリヒが後ろを振り返ると、リーゼロッテの頭上の天井に、異形がわさわさと集まっている姿が見えた。天井の黒い吹き溜まりから崩れかけたその手を伸ばし、リーゼロッテの髪をつかもうとしている。
その光景は、リーゼロッテが狙われていることを如実に現していた。城中の異形という異形が、リーゼロッテに迫っているかの勢いだ。
リーゼロッテの身の安全はジークヴァルトに任せて、ハインリヒは目の前の道を切り開くことに専念した。客間まであと少し。客間の扉の前は、ジークヴァルトの結界のせいか、ぽっかりと異形の姿が見えなかった。
ほうほうの体で一行は客間の中へなだれ込んだ。ほっと息をつく一同を迎えたのは、ぽかんとした様子のエラだった。
あり得ない面子の突然の来訪に、今度はエラがパニックを起こす番であった。