ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 その様子をジークヴァルトは黙って横目で確認していたが、自分の守護者がうっとりした表情でリーゼロッテに顔を寄せていくのを見て、無意識に半眼となった。

「おい」

 ジークヴァルトは低い声で言うと、いきなりリーゼロッテの二の腕を掴んで真横に引いた。目を閉じたままリーゼロッテは、隣に座っていたジークヴァルトの膝の上にころんと倒れこんだ。

「何をやっているんだ、お前は?」

 怪訝な顔でハインリヒがジークヴァルトを見やる。ハインリヒとカイには、ジークハルトの姿は見えないしその声も聞こえない。ふたりには、ジークヴァルトがいきなりリーゼロッテを膝に引き寄せたようにしか見えなかった。

「少し席を外す」

 そう言うとジークヴァルトはリーゼロッテをひょいと抱え上げ、居間の隣にあるリーゼロッテの寝室へと足を踏み入れた。ぽかんとしているハインリヒとカイをよそに、後ろ手で扉を閉める。

 そのまま寝台まで歩を進めると、ジークヴァルトはリーゼロッテをベッドの上にそっと降ろした。肩を押されて、リーゼロッテは仰向けに寝かされる。

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