ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「ジークヴァルト様?」

 困惑気味にリーゼロッテが言うと、ジークヴァルトは無表情のまま「お前、今すぐ眠れ」と返した。

 ジークヴァルトは、リーゼロッテが眠ったときに漏れ出た力が気になっていた。あの夜、あまりにも強い力を感じたからだ。あの力と、リーゼロッテが狙われる理由に何か関係があるかもしれない。

「こんな時に何をおしゃっているのですか? この状況でのんきに眠れるはずもありません」
『ええ? リーゼロッテが眠るんだったらオレどっか行ってるよ』

 ふわりと天井近くまで高度を上げ、ジークハルトがどこかで聞いたことがあるような台詞を言った。

「ダメです! ハルト様はヴァルト様の守護者でしょう? 離れるなんていけません」

 あわてて上半身を起こしてリーゼロッテは言ったが、似たようなやりとりをした覚えがあって、ん? と首をかしげた。

『うーん、でもなあ……リーゼロッテの神気って、ちょっとこの身にはツライんだよね。オレまで浄化されちゃいそうだし……』と、ジークハルトが頬をかきながら言った。
「どういう意味だ? お前、何を知っている?」

 ジークヴァルトが自身の守護者を睨みつけた。

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