ふたつ名の令嬢と龍の託宣
リーゼロッテはそっと手を伸ばし、自らジークヴァルトの腕に身をゆだねた。ジークヴァルトはリーゼロッテを大事そうに抱き上げると、そのまま廊下への扉に手をかけた。
「ハインリヒ行くぞ。カイは部屋の結界を守れ。オレの張った結界もじきに持たなくなる」
ジークヴァルトは何のためらいもなく扉を開けた。ぐおっと異形たちの熱気とも冷気ともとれる圧がその身を襲う。
「カイ、これをアンネマリーに渡しておいてもらえないか? ただの気休めにしかならないが」
振り返りざま、ハインリヒはカイにそれを手渡した。カイが受け取ったのは、ハインリヒがいつも愛用している懐中時計だった。
「わかりました。ご武運を」
カイがそう言うと、ハインリヒはそのまま部屋から飛び出し、急いで扉を閉めた。玉座の間に向かえと言うなら、そうするしかない。何か算段あってのことでなければ、後でジークヴァルトを殴り飛ばそう。
そう思ったハインリヒは、異形が渦巻く王城の廊下へと一歩踏み出した。
「ハインリヒ行くぞ。カイは部屋の結界を守れ。オレの張った結界もじきに持たなくなる」
ジークヴァルトは何のためらいもなく扉を開けた。ぐおっと異形たちの熱気とも冷気ともとれる圧がその身を襲う。
「カイ、これをアンネマリーに渡しておいてもらえないか? ただの気休めにしかならないが」
振り返りざま、ハインリヒはカイにそれを手渡した。カイが受け取ったのは、ハインリヒがいつも愛用している懐中時計だった。
「わかりました。ご武運を」
カイがそう言うと、ハインリヒはそのまま部屋から飛び出し、急いで扉を閉めた。玉座の間に向かえと言うなら、そうするしかない。何か算段あってのことでなければ、後でジークヴァルトを殴り飛ばそう。
そう思ったハインリヒは、異形が渦巻く王城の廊下へと一歩踏み出した。