ふたつ名の令嬢と龍の託宣
三人ががらんとした玉座の間に足を踏み入れると、異形たちはその扉にはじかれたように堰き止められた。異形は入ってこられないようだったが、リーゼロッテの耳にはその声が今も木霊し続けている。
ジークヴァルトは玉座の前の広間にリーゼロッテを下ろすと、自身の力で結界を強く張った。異形の声が少しだけ遠のいて、リーゼロッテはその場にしゃがみこみそうになった。
ジークヴァルトがその細い腰に腕を回して引き寄せる。一緒に床へ屈みこみ、自分が背もたれになるようにリーゼロッテを抱えこんで前へ座らせた。
「少し休むか?」
ジークヴァルトの問いかけに、リーゼロッテはかぶりを振った。一刻も早く解放してあげたい。自分にそれができるというのなら――
リーゼロッテは胸にかけたペンダントを外そうと首の後ろに手を回した。眠りにつく前に守り石は外すようジークハルトに言われたからだ。だが指が震えて留め金をうまく外すことができない。
ジークヴァルトがそれを制して、リーゼロッテのうなじの髪をかきわけた。華奢な首が垣間見える。そっと留め金を外すと、ジークヴァルトはペンダントを引き抜いて騎士服のポケットにしまった。
「あとで返してくださいませね」
リーゼロッテはそう言うと無理に笑顔を作ってから、手に持っていた白い粉薬を一気にあおった。水分が何もないためむせそうになるが、リーゼロッテはなんとかそれを飲み下した。苦味で涙目になる。
「眠り薬はじきに効きます。効果は長くて三時間ほどかと」
いいながらその瞳がとろんとしてくる。
「あとで甘い菓子を食わせてやる」
ジークヴァルトがそう言うと、リーゼロッテはふわりと笑って「たのしみにして、おります、わ」とささやくように言って、そのまますうっと眠りに落ちた。
ジークヴァルトは玉座の前の広間にリーゼロッテを下ろすと、自身の力で結界を強く張った。異形の声が少しだけ遠のいて、リーゼロッテはその場にしゃがみこみそうになった。
ジークヴァルトがその細い腰に腕を回して引き寄せる。一緒に床へ屈みこみ、自分が背もたれになるようにリーゼロッテを抱えこんで前へ座らせた。
「少し休むか?」
ジークヴァルトの問いかけに、リーゼロッテはかぶりを振った。一刻も早く解放してあげたい。自分にそれができるというのなら――
リーゼロッテは胸にかけたペンダントを外そうと首の後ろに手を回した。眠りにつく前に守り石は外すようジークハルトに言われたからだ。だが指が震えて留め金をうまく外すことができない。
ジークヴァルトがそれを制して、リーゼロッテのうなじの髪をかきわけた。華奢な首が垣間見える。そっと留め金を外すと、ジークヴァルトはペンダントを引き抜いて騎士服のポケットにしまった。
「あとで返してくださいませね」
リーゼロッテはそう言うと無理に笑顔を作ってから、手に持っていた白い粉薬を一気にあおった。水分が何もないためむせそうになるが、リーゼロッテはなんとかそれを飲み下した。苦味で涙目になる。
「眠り薬はじきに効きます。効果は長くて三時間ほどかと」
いいながらその瞳がとろんとしてくる。
「あとで甘い菓子を食わせてやる」
ジークヴァルトがそう言うと、リーゼロッテはふわりと笑って「たのしみにして、おります、わ」とささやくように言って、そのまますうっと眠りに落ちた。