ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 王城の中央最上部にある玉座の間を中心に、リーゼロッテの力が広がっていく。ジークハルトは、城の上空からその様を無言で見つめていた。

 ふと、王城の一角に見知った影を感じたジークハルトは、すいと移動し、そちらを目指した。

『大公、どうする? じきに聖女の力がここにも来る』

 問いかけた相手は、鎧の首無し大公だった。

『これは悠久の守護者殿。いや、王子殿下というべきか』

 軽く礼を取って鎧の大公が答えた。

『いや、今はただの守護者だよ。それより』

 ジークハルトは、もう一度大公に言った。

『じきに聖女の力が来る。大公はどうする? 留まるなら力を貸すけど』

 その言葉に、鎧の大公は遠い何かに馳せるように言葉を紡いだ。

『嬢は……。マルグリット嬢は、龍のもとにいったのだな?』
『みたいだね』

 ジークハルトも遠くを見つめるように言った。

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