ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「まあぁ、なんて愛らしい! さすがは『深窓の妖精姫』と名高いご令嬢ですわ。ダーミッシュ伯爵様がお隠しになられるのもうなずけます」

(妖精姫? 何なんですか、その恥ずかしい呼び名は!?)

 リーゼロッテはその厨二病的珍妙なあだ名に、「まあ、そのような」と返すのが精いっぱいであった。そんなとき、令嬢たちから悲鳴のようなざわめきがおこった。

「王子殿下がいらっしゃったわ」

 座っていた一同が立ち上がる。リーゼロッテも、それにならって椅子を倒さないように慎重に立ち上がり、礼を取る姿勢を保った。

「みな、顔をお上げなさい」

 王妃の言葉に、令嬢とその母親たちが一斉に顔を上げた。

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