ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 王妃の横には、プラチナブロンドのすらりとした、まさに理想の王子様を体現したような、見目麗しい青年が立っていた。アメジストのような紫色の瞳が、ときおり太陽光に反射してきらきらと光る。ほう、とどこからともなくため息が漏れ、令嬢たちの熱い視線が、王太子殿下に注がれまくっている。

「申し訳ないのだけれど、わたくしはこれから公務があって、最後までみなをもてなすことができないのよ。そのかわり、息子を呼びましたの」

(いやいや、そっちが本当の目的でしょ)

 急な招待だった上に主催者が早急に退場するなど、どう見てもこのお茶会は、王子と令嬢たちを引きあわせるために計画的に開かれたとしか思えない。

 獲物を狙う猛獣のように、令嬢とその母親たちの目がらんらんと光っていて、なんだか怖すぎる。リーゼロッテは、絶対に王子には近づくまいと、改めて心に誓った。

「ハインリヒ、みなを丁重にもてなすのですよ」

 王子に向かってそう言うと、自分主催のお茶会であるのにかかわらず、王妃はあっさりと去っていった。

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