ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 あの日、王城に集まった異形たちは、リーゼロッテの力によってそのほとんどが浄化された。城内で起きていた体調不良や怪我の発生なども、あれ以来なりをひそめている。

 それどころか、肩こり・腰痛・古傷の痛みなど、関係ないようなものまで改善したという者が続出していた。

 城下町である王都ビエルサールでは、その日は犯罪の発生がほとんどなかったとの報告も上がっている。

 異形はどこからか集まってくるので、ちらほらと再びその姿を現していたが、それはどこでも普段からいる程度の数であった。

「あれだけ強烈な力をぶちかましておいて、何この体たらく」

 あきれたようなカイの言葉に、リーゼロッテは追い打ちをかけられた。リーゼロッテはジークヴァルトの守り石なしでは、やはり異形を視ることはできなかったのだ。

「カイ、それくらいにしておけ」

 ハインリヒもカイの意見に概ね同感だったが、リーゼロッテを責めてもどうしようもなかった。

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