ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 リーゼロッテは領地の屋敷で、日中は異形に取りつかれ、毎夜眠りと共に守護者の力を解放しては、それらの浄化を繰り返していたのだ。

 毎晩のように見る夢は、浄化を夢で具現化したものだろうということに落ち着いた。

 王城に来てから見る悪夢は、力が解放できずに、それであんなに消化不良の内容だったのだと、リーゼロッテは妙に納得した。

(あの日見た夢は、久しぶりにやりがいがあったもの)

 翌日に目が覚めたときは、夢のせいか寝足りなくてしばらくぼんやりしていたが、心はいつになく晴れやかだった。起きがけにエラにクッキーを食べさせてもらうのも久しぶりで、王城に来てからは初めてのことだった。

 ハインリヒ王子の説明では、浄化の力を使い果たすとお腹がすいて力が出なくなるらしい。領地でのこれまでの食生活は、エネルギー切れのせいだったのだと、リーゼロッテはこれまたおおいに納得した。

(あの日、夢の中でジークヴァルト様にクッキーを食べさせてもらっていたような気もするけれど……)

 リーゼロッテは気づいたらいつもの客間のベッドの上だった。

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