ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 このままリーゼロッテを領地に帰しても、リーゼロッテが自分の意思で異形を浄化できないことにはどうにもならなかった。

 眠りについたリーゼロッテが放つ力はあまりにも強く、ハインリヒにはその身を削っているように感じられた。このままその状態を放置するのは、リーゼロッテにとってあまりにも危険だった。

 かといって、ジークヴァルトの守り石を身につけて、ずっと力を放出しないでいるのもリーゼロッテの命に関わる状態だ。それに、力をためすぎると、また同じように異形たちが集まってくるだろう。

「でも、どうして眠りが力の解放になるって分かったんです?」
「ジークハルト様が教えてくださったのです」

 カイの疑問にリーゼロッテが答えると、カイはその目を見開いた。

「ジークヴァルト様の守護者が?」

 だったらもっと早く教えてくれればいいのに、とあきれたように言った。

「おもしろいから黙っていた、と言っている」

 不機嫌そうにジークヴァルトは、宙を睨みつけた。

「奴が言うには、あれはダーミッシュ嬢の守護者の力らしい。ダーミッシュ嬢がもっと守護者と同調できれば、力を制御できるかもしれない」

 ジークヴァルトの言葉に、ハインリヒは「そうか」とつぶやいた。

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