ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 リーゼロッテは同じソファの上、ジークヴァルトの膝と膝の間に座っていた。
 ジークヴァルトの腕が後ろから囲うように降ろされ、その手はリーゼロッテの腹のあたりで組まれている。

「力を抜いて楽にしてろ」

 守り石のペンダントを外した状態だったので、リーゼロッテは少し緊張していた。

 ジークヴァルトはそっとリーゼロッテの力を探った。やはり、薄い膜のようなものがリーゼロッテを覆っているのが感じられる。

 あの日、ジークヴァルトは、ゆっくりとその膜がほどけていくのをこの目で見た。あの感覚を思い出してみる。膜が解けた直後、眠ったリーゼロッテから力が解放されたのだ。

 ジークヴァルトは自らの力を注意深くほんの少しだけリーゼロッテに注いでみる。その力は、瞬時に膜に吸い込まれて消えてなくなった。

(これが拒絶か)

 自分の守護者が言っていたことを思い出す。

 守り石の自分の力がリーゼロッテを覆っていたため、膜がそれから守るようにしてバリアを張り、眠ってもリーゼロッテの力が解放されなかったのだ。客間の結界がそれを助長する結果になった。

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