ふたつ名の令嬢と龍の託宣
(あとは若い人たちで、ってやつですか)

 リーゼロッテはますます重くなってきた体に焦りを感じつつ、そんな突っ込みをひとりいれてみる。

(王妃様も退場されたし、ここは一刻もはやくお(いとま)しましょう)

 そう思う間もなく、リーゼロッテはくらりと眩暈(めまい)を覚えた。体が(なまり)のように重い。足を一歩踏み出すのも、重労働に感じる。

(まずいな……ホントに気絶しそう。いつもより、重くなるのが早すぎるわ……)

『令嬢たるもの常に平常心を保たねばなりません。心の奥底でどう思っているのであれ、口元には涼しい笑みを浮かべなさい』

 教育係だったロッテンマイヤーさんの言葉がリーゼロッテの脳裏にこだまする。

(やれるだけ、やってみなきゃ。ダーミッシュ家への恩を、あだで返すわけにはいかないもの……!)

 惜しみなく愛情を注いでくれる家族を思って、リーゼロッテは気力を振り絞り両足に力を入れた。

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