ふたつ名の令嬢と龍の託宣
 王女は言うなり、自分の赤い髪に結ばれていた幅の広い緑のリボンをしゅるりと解いた。それを跪いているリーゼロッテの顔に巻き付けていく。

 目隠しをされるようにリボンを巻き付けられたリーゼロッテは、そのまま王女のなすがままにされていた。

 いびつな縦結びで目隠しを結び終えると、ピッパ王女は一歩後ろに下がってから、満足そうに頷いた。

「ほら、こうするとそっくりではない?」

 自信満々な王女の問いかけに、アンネマリーはどう答えてよいのかわからなかった。

 ふいに居間の扉がノックされた。そばに控えていた侍女が扉を開けると、城の女官らしき年配の女性が部屋に入ってくる。

「アンネマリー様、ご来客中に申し訳ございません」

 女官はすまなさそうにそう言った後、ピッパに向き直ってその目をつり上げた。

「王女殿下、また刺繍の時間を抜け出して、一体何をなさっているのですか?」

 そして、王女の前にいた目隠しされた令嬢が目に入ると、女官は慌てふためいた。令嬢の顔に巻き付けられているのは、どうみても王女の髪に結ばれていたリボンだ。

「お嬢様、申し訳ございません。いまお外しいたします」

 そう言って、女官はするするとリーゼロッテからリボンを解いていく。

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