ふたつ名の令嬢と龍の託宣
「王妃様のお考えになることはよくわからないわ」

 アンネマリーが肩をすくませながら言った。

「……アンネマリーはすごいわね。あの王妃様のお側で過ごしていたなんて」
「あら、わたくしに言わせれば、フーゲンベルク公爵様と平然と一緒にいるリーゼの方がすごいと思うわ」

 リーゼロッテの言葉にアンネマリーは笑ってみせた。

 ジークヴァルトの一睨みは落雷に匹敵するのではないかなどと、一部の令嬢の間で囁かれているのだ。

 アンネマリーはこの離宮に滞在中、王妃とは会話らしい会話はほとんどしていない。アンネマリーがピッパ王女に話をしているのを、王妃は黙って聞いているだけだった。

 王妃は何も聞いてこなかったが、隣国に嫁いだ王女のことは知りたいだろうと思い、アンネマリーはそれとなくテレーズのことを幾度も話題に乗せた。

 もちろんピッパ王女の刺激にならない範囲のことであったが。

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