ふたつ名の令嬢と龍の託宣
     ◇
 目の前に差し出された紅茶に、リーゼロッテは微笑んだ。

 明日は王城を辞して領地に帰る日だ。この王太子用の応接室でお茶を飲むのも今日で最後かと思うと、少しさびしい気がする。王城での滞在は、結局は一カ月弱となった。

 リーゼロッテがもうすぐ誕生日を迎えることもあって、領地への帰還が決められたのだが、リーゼロッテの力の制御はまだまだ不十分な状態だった。

 当面は、週に一度だけ、ジークヴァルトの守り石を外して眠り、夜のうちに力の解放をすれば、リーゼロッテに負担が少ないということで落ち着いた。

(ハルト様の言うとおり、十五の誕生日を迎えれば何かが変わるかしら?)

 そこは誕生日を迎えてみなければわからない。その時になってから考えればいいと、ジークヴァルトには言われている。

< 324 / 678 >

この作品をシェア

pagetop